つじもとのエンジニア新卒就職活動とその後

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【歴史は繰り返すのか?】よからぬ兆候を読み取ったので、リーマンショック時の就職活動の実態を調査しました

こんばんは、つじもとです。今回は注意喚起に近い部分があります。自身のキャリア形成のための役に立っていれば幸いです。大学生の方は絶対にちゃんと読んでください。損はしないはずです。ちなみに、一応前回の記事の続きです。前回を見ていない人は以下のリンクからお願いします。

satoru-tsujimoto.hatenablog.com

出典

今回も、リクルートワークス研究所で公開されている大卒求人倍率調査(2021年卒)を使用します。

www.works-i.com

従業員規模別求人倍率

前回の記事で紹介した大学求人倍率の他に、従業員規模別求人倍率もありました。

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リクルートワークス調べ

このグラフで見ていただきたいのは、青色の「従業員規模の300人未満の企業」の求人倍率の推移です。求人倍率が下がっているということは、より競争が激しくなっているということです。この背景は大きく二つあります。

  • ベンチャー企業などが人気となっている、働き方や考え方に変化が出ている
  • 不況で大手は入れないと考えた人が中小企業へと流れ込む

前者の理由による中小企業の人気は良い傾向であると言えます。いわゆる「大企業信仰・大手病」がなくなり、自身のキャリアを考えた結果であるなら喜ばしいことです。

しかし、後者の理由であるのなら僕は不安を覚えます。

その理由について説明したいと思います。

従業員規模別が1000人未満か以上で分類された求人倍率

ここで、従業員規模が1000人未満と以上の企業の2つに分類した求人倍率の推移をお見せします。

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リクルートワークス調べ

まずは、赤丸のところを見ていただきたいです。これは、バブル崩壊後とリーマンショック後の「従業員規模が1000人未満」企業の求人倍率の推移ですが、不況前に比べて大幅に下落しています。一方、「従業員規模が1000人以上」企業の求人倍率の推移は大きく変化していません

また、青色で囲まれた部分を見てみましょう。2021卒の従業員規模別の求人倍率になります。

従業員規模1000人以上の企業の求人倍率、去年度より上がってますね!?

なんなら過去最高水準とも言えますね。反対に、従業員規模1000人未満の企業の求人倍率は、過去の不況と同水準にまで下がっています。

このように、景気に大きな変化があると「中小企業信仰」が始まってしまう傾向にあります。 (中小企業の定義は業種より異なり、一見中小企業でも定義上は中小企業でないことも多くあります。しかし、それを確認しない学生も多く、イメージで企業が語られることがあるとのことで、カッコで括っています。)

「中小企業信仰」

ここからは聞いた話で恐縮ですが、そういった事態になると、新卒採用は「買い手市場」へと変化してしまいます。そのため、普段は優秀な学生を取ることができない企業が採用活動を積極化させます。メディアも積極的にそれを煽るそうです。

ちなみにこんなものを見つけました。発売が2011年7月...。タイミングが良すぎるようにも思いますね。

presidentstore.jp

そのため、自分で考えたりしたわけでもなく、周りに踊らされた結果、大手には入れないだろうと勝手に判断し、中小企業ばかり受けるそうです。しかし、「中小企業信仰」が始まると元々中小企業一社あたりの採用人数が多くないため、

結果的に倍率は大手と同様かそれ以上になるそうです。

その結果、自ら大手企業へのエントリーを放棄し、中小企業中心の就職活動も失敗した結果、満足のいく就職ができないという問題が発生します。

日本において、新卒カードは禁止級の反則カードです。今でこそ、第二新卒枠などもありますが、多くの企業が行なっているわけでありません。また、日本はレールを外れたものに厳しいです。だからこそ、この「中小企業信仰」が起こっていないか危惧しているのです。

求人数の減少以上と希望者の増加

しかし、これを見ただけだとこう反論する人もいるでしょう。

「中小企業は体力がないから、不況になると求人数が下がるんじゃないか」

と。はい、それ自体はあっています。その結果、求人倍率が下がるのだろうと考えますよね。

しかし、希望者も増加します。

ここで、具体的な数値を見てみましょう。同じデータ内にある従業員規模別求人総数と民間企業就職希望者数の推移の300人未満企業のデータです。

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リクルート調べ

赤枠リーマンショック東日本大震災による不況時のデータです。中小企業の求人数は減少傾向ですが、希望者数は増加傾向にあります。

そして、青枠は2020年卒と2021年卒の求人数と希望者数の推移です。求人数が6万以上減って、希望者数が6万以上増えていますね

...えっ、こんなに?

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求人倍率の計算は 求人数/希望者数 ですので、分子である求人数が減り、分母である希望者数が増えるため、求人倍率は大幅に下がるということになります。

このように、もうすでに不況時に起こる「中小企業信仰」が始まってしまっているのではないかと危惧しています。

「大手安定志向」と「中小企業信仰」

2010年当時の報道でこんなものを見つけました。

www.youtube.com

ここでは「学生の安定志向が高まった」とありますね。つまりは、

「大手安定志向」

ということです。さっきと話が違うじゃないかって思われる方もいると思います。

ここで、同じくリクルートワークス研究所が調べた2009年卒〜2012年卒の従業員規模別求人総数と民間企業就職希望者数の推移(赤枠の箇所)を見てみましょう。

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リクルートワークス調べ

2009年から2010年の推移を見ると、確かに「大手安定志向」は存在していました。問題はその後です。2010年から2011年、2012年にかけて従業員規模1000人未満の企業の志望者数が増加していることが見て取れます。つまり、

「大手安定志向」の先に「中小企業信仰」があるのです。

先ほどの証言のように、メディアなどに踊らされたり、先輩方の就活成績に焦りを感じたためか、多くの学生が「中小企業信仰」に陥ってしまったと考えられます。

そもそも気になる点もある

しかし、2020年の調査結果には気になる点が一つあります。それは、企業の調査結果は2020年6月の再調査したときのものになっているが、学生の回答は2020年3月中旬のものとなっている点です。

3月中旬となると、新型コロナウイルスが日本では感染を広げ、入国・出国が大きく制限され、日経平均株価も一時急落した時期になります。

世間的に大きな不安に見舞われたタイミングではありますが、まだ就職活動も広報解禁がされたばかりです。(まあ基本的に動き始めてる人が多いと思いますが...)2〜3週間で多くの人が「中小企業信仰」へと走ってしまうことがあるのでしょうか?

自身のキャリアを考えた上で中小企業志望である可能性も大いにあります。

そのため、来年の調査結果が出ないと一概には言い切れないと考えています。

自身のキャリアは自分自身で

今回のデータで、景気とそのときの学生の動きが分かったと思います。リーマンショック時の就職活動について複数人の方に話を聞いたことがあるのですが、

ちゃんとやることをやっていた人は希望の企業・業種に就職していました。

大手企業にとっては、不況時は採用枠の減少こそありますが、採用活動を行わないということではありません。(一部例外はあります)

昨今の状況で自身のキャリアに不安を感じていたり、周りの動きが気になるという方に勝手ながらアドバイスです。

不安があるなら調べ尽くしましょう。確かな情報源を持ちましょう。

周りの動きは無視しましょう。

海千山千の猛者(社会人)たちがそれぞれの目的のために動いています。そして、あなたの将来のことなんてそんなに関心はないです。(偏見)

自分の人生は自分で決めるものです。

だからこそ、あなた自身で正確な情報源を確保し、考え、周りに流されずに行動していってください。自分自身の望むキャリアを歩んでいけることを願っています。